■米ドル/円は8~9年周期で高値をつけている


宮田直彦氏に聞く(2012年-2) 米ドル/円は
最低でも124円、さらに140-150円へ上昇も

2012年12月12日(水)東京時間 19:57

「宮田直彦氏に聞く(2012年-1) 米ドル/円は新たな長期米ドル高・円安時代に入った!」からつづく)
■米ドル/円は8~9年周期で高値をつけている

 さて、では米ドル高・円安トレンドに転換したという米ドル/円はいつ頃、どれぐらいまで上昇するのだろうか?

 宮田さんはそれをさまざまな観点から検討しているが、その1つが米ドル/円が高値をつけるサイクルだ。

 「これは以前も触れたことですが、米ドル/円は8~9年周期で高値をつけてきています。前回の高値が2007年ですから、そこから8~9年が経過した2015~16年が次の高値をつけるタイミングと考えられます」

【参考記事】
【09年予想】宮田直彦さんに聞く(3) ~70円台への突入はチャート的に当然~
宮田直彦氏に聞く(4) 40年に渡る長期の米ドル安・円高局面がついに終わる!

米ドル/円 月足log(クリックで拡大)

上のチャートのように米ドル/円は8~9年周期で高値をつけてきた

 「さらに、もう少し詳しく検討してみると、前回のサイクルは8年10カ月でした。対等日柄という考え方では、次のサイクルも前回サイクルと同じ期間になると考えます。

 仮にこの考え方でいくと、前回高値の2007年6月から8年10カ月後の2016年4月というタイミングが出てきます」


■ダイアゴナル・トライアングルをブレイクしたあと、どうなる?

前回の記事で出てきたように、米ドル/円相場は2012年2月にダイアゴナル・トライアングルをブレイクして終了しているが、ダイアゴナル・トライアングルをブレイクしたあとは通常、どのような動きになるのだろうか?

【参考記事】
宮田直彦氏に聞く(2012年-1) 米ドル/円は新たな長期米ドル高・円安時代に入った!

 その典型的な動きを宮田さんは次のように解説する。

 「今回のダイアゴナル・トライアングルがはじまってからブレイクするまでの期間をとると4年8カ月になります。

 教科書的な見方は、ダイアゴナル・トライアングルをブレイクした2012年2月から4年8カ月後の2016年10月までに次の高値をつけることになります。この2016年10月というのは高値をつけるまで一番長くかかった場合のタイミングです。

 先ほど米ドル/円高値の8~9年サイクルから出てきた2016年4月というタイミングは、2016年10月より手前ですから、かなりいい線だと思っています」

米ドル/円 月足(クリックで拡大)


■124.16円は米ドル/円上昇のミニマムターゲット!

 「そして、水準についてですが、これはダイアゴナル・トライアングルが始まったところ、つまり2007年6月につけた124.16円というのがターゲットになります。

 ただ、124.16円というのはミニマムのターゲットだと思っています。あとで触れるユーロ相場との絡みでいうと、140~150円という水準もあり得ると考えています」

 今から3年ちょっとで米ドル/円が140~150円まで上昇するというのはかなり刺激的な話。宮田さんは「124.16円より上はまだおぼろげな世界ではある」とさすがにそこまでの上昇に確信があるほどではないようだ。

 とはいえ、逆に「チャート的には、124.16円まではまず必ずいくと思います」とも宮田さんは言う。

124.16円は米ドル/円のミニマムターゲットというのが宮田さんの見解

 2012年12月12日(水)の本記事公開日現在、米ドル/円相場はいまだ82円台をウロウロしている状況。124円というとまだはるか遠くに感じるが、宮田さんはそれを必達レベルだと見ているのである。

 次に宮田さんが…

■次のサイクルは強気型のライト・トランスレーションになる

 次に宮田さんが解説してくれたのは米ドル/円の安値から安値まで約10カ月のサイクルについて。前回記事では「1年以内に新安値を取るサイクル」のことが出てきたが、この10カ月のサイクルはそれよりもっと前から続いているものとのこと。

【参考記事】
宮田直彦氏に聞く(2012年-1) 米ドル/円は新たな長期米ドル高・円安時代に入った!

 「前回の10カ月サイクルは2011年10月31日に始まり、2012年9月13日に終わりました。これは10カ月より少し長くて11カ月程度となっています」

米ドル/円 週足(クリックで拡大)

 「この安値から安値までのサイクル内で高値は2012年3月につけています。サイクルの真ん中より後半(右側)ではなく、前半部分(左側)で高値をつけているのです。これはレフト・トランスレーションといって、だいたいは弱気サイクルになります」

レフト・トランスレーションとライト・トランスレーション

 「弱気サイクルですから、サイクルの始点である安値を終点の時点では下回るのが普通。ところが今回は2011年10月31日の安値をその後、下回っていません。

 こうなると、レフト・トランスレーションが本来持っている弱気の性質が変わったことになるのです。

 このようにサイクルが本来あるべき弱気の形でなくなった場合、次のサイクルは十中八九、強気型になります。弱気型サイクルが失敗したわけなので、次は高い確率で強気型サイクルになるのです。

 そして、強気型はライト・トランスレーションということになります」

弱気形でなくなったレフト・トランスレーションの次に来るのは…


■次の高値は2013年2~6月につけるだろう

 以上のことから、2012年9月中旬から始まった新たな10カ月サイクルは強気型になると考えられると宮田さんは言う。

弱気形でなくなったレフト・トランスレーションの次は強気型のサイクルが来るというのが宮田さんの見方。つまり、今現在の米ドル/円相場は強気型サイクルの中にあることになる。

 そして、10カ月サイクルは正確に10カ月になるかどうかはまだわからないものの、仮にきっちり10カ月と考えると…。

 「米ドル/円は2013年7月中旬に次の安値をつけることになります。このとき、サイクル全体を10カ月と考えたので、サイクルの真ん中までは5カ月。すなわち、2012年9月中旬から5カ月経った2013年2月中旬がサイクルの真ん中になります。

 そして、真ん中よりも後半(右側)に高値が来るのが強気型のライト・トランスレーションです。また、2013年7月には安値をつけて、サイクルが終わるはずです。

 したがって、次の高値をつけるのは、サイクルの真ん中の2013年2月中旬以降で、サイクルが終わる2013年7月中旬よりは前の『2013年2~6月』になるだろうという話になるわけです」

米ドル/円 日足(クリックで拡大)

 そして、この高値のタイミングはまた別のサイクルからも導かれるという。

 「過去5年、米ドル/円には11~13カ月もしくは24カ月ごとに高値をとるサイクルがあるんです。ここから出てくるのは2013年2~4月に米ドル/円は次の高値を取るだろうということです」

米ドル/円 週足(再掲載、クリックで拡大)


■2013年春から6月ぐらいまでに90円まで上昇するか

 先ほどは2015~16年に124円とか、さらには140~150円というターゲットが出てきたが、今回出てきた2013年の高値はそれよりは小規模な目先の話。

 とはいえ、その目先の動きのほうが気になる人も多いのではないだろうか。では、2013年前半につける高値の水準を宮田さんはどれぐらいとみているのか?

「現在の米ドル/円はエリオット波動ではもっとも強い第3波にあると考えられます。

 では、第1波の始点はどこかというと、これは技術的な問題があって、詳しい説明はややこしいので省略しますが、2012年2月1日の76.03円が第1波の始点だと考えています。

 そして、2012年3月の84.18円が第1波の天井です。始点から8.15円動いています。この幅を1とすると、1.618というのがノーマルな第3波の上値メドになります。

 8.15円を1.618倍すると13.18円。これを9月13日の安値77.13円にプラスすると、90.31円というターゲットが出てきます」

宮田さんは「現在の米ドル/円はエリオット波動ではもっとも強い第3波にある」ことを強調する。そして、第3波の標準的なターゲットは90.31円だ。

 「ここまでをまとめると、米ドル/円は2013年春から6月ぐらいまでに90円まで上昇するだろうという見立てになります」

米ドル/円 日足(再掲載、クリックで拡大)

 ここで出てきた1.618というのは一見、中途半端な数字のようだが、FXトレーダーなら知っている人も多いかもしれない。これはエリオット波動とともによく使われるフィボナッチの数字だ。

【フィボナッチについての参考記事】
ガンパウダー・鈴木隆一さんに聞く(4) FXではなぜ233日移動平均線がいい?
■今の米ドル高・円安トレンドが年内に終わるとは考えづらい

 また、エリオット波動的な見方以外からも、米ドル/円のターゲットは出てくるようだ。

 「米ドル/円の週足を見ると、逆三尊(ヘッド&ショルダーズ・ボトム)ができかかっているのがわかります。

 このネックラインは今、83円ぐらいのところにありますが、逆三尊の安値とネックラインの値幅は9.5円ほどありますから、仮にネックラインを83円として、そこを上にブレイクした場合、83円に9.5円をプラスした92.5円というターゲットが出てきます。

 先ほどの90.31円というターゲットとまずまず近い数字です」

米ドル/円 週足

 「いずれにしても、言えることは今の米ドル高・円安トレンドが2012年の年内に終わることは考えづらいということです。一時期の急激な上昇はここへ来て落ち着いてきていますが、今はエリオット波動でもっとも力強いとされる第3波にあることが重要です。

 ですから、この上昇は、最近つけた82.8円台程度の高値(※)で終わるものではないだろうと考えています。

 また、節目としては2012年3月につけた84.18円も重要ですが、その前に83円付近にある逆三尊のネックライン、ここがかなり重要だと考えています。ここを抜けてくれば、90円以上へ向けての上昇が見えてくると思います」

(※本記事の取材は2012年12月4日(火)に行った。その時点での米ドル/円の直近高値は82.8円台だった。その後、本記事公開直前の12月12日(水)夕方に高値を少し更新し、82.9円台をつけている)
■エリオット波動第5波の高値は95円程度か

 2012年11月の安倍自民党総裁発言をきっかけに始まった急激な円安相場は「安倍トレード」などと呼ばれた。その持続性を疑問視する見方もあるが、以上のようにまだ円安相場は終わらないというのが宮田さんの見立て。もっとも、今後もそれが「安倍トレード」と呼ばれるかどうかはわからないが。

 では、90~92円でエリオット波動第3波の高値をつけたあとはどうなるのだろうか?

 「高値をつけたあとは、先ほど触れたサイクルの話から2013年7月に安値をつけることになると思います。これが第4波になるわけですが、エリオット波動では、第1波の高値と第4波の安値は重ならないというルールがあります。

 したがって、第1波の高値である84.18円を第4波の安値は割らないことになります。これを仮に85円ぐらいとしておきましょう。

 第5波はそれほど強い波動ではありませんので、せいぜい値幅は10円ほどではないでしょうか。そうすると85円に10円プラスして、95円というターゲットが出てきます」

 「この第5波の高値をつけるのは2013年後半~2014年前半ぐらいだと思います」

「宮田直彦氏に聞く(2012年-3) ユーロ/円は2015~16年に140円まで上昇が見えてきた」へつづく)